ワンボックス分会

注:基本的に4人乗りを中心に書いています。「全車」と言っても一部2人乗りグレードが当てはまらない場合があります。また、実用車としてとりあげています。乗用車がわりにと考える人はそれぞれのオーナークラブのサイトを参照してください。

バンとワゴンの違いは?
 一見同じように見えるバンとワゴン。違いはバン=貨物車=4ナンバー、ワゴン=乗用車=5ナンバーということ。バンは定員乗車した状態で、リヤシート部分より荷物スペースの方が広くなければいけません。そのため、リヤシートのスライドやリクライニングがありません。


 農家や自営業ではには、軽ワンボックスもよく使われます。ふだんは4人乗りの乗用車として、雨が降っているときには荷物を満載して出荷にも行けます。私も長い間乗っていたのですが、その便利さはなかなか他の車にはないものです。
 新規格バンが出て気になったのは、ダイハツ、三菱、スズキの3社で後席の床面が高く、旧軽バンと比較して窮屈になりました。特に後席が薄い低グレード車は、身長の低い私でもひざをかかえるような姿勢になり、乗るに耐えないものがあります。

 そこでミニキャブとアトレーとエブリイは、5ナンバーの「ワゴン」を設定しました。よく「軽ワゴン」と呼ばれますが、日本ではワゴンとは乗用を目的とした5ナンバー車であり、貨物車登録の従来のワンボックス車は「バン」と呼ぶのが本当でした。しかし、これで名実と共に「軽ワゴン車」となりました。
 少し遅れてホンダもストリート後継車「バモス」をワゴンとして出しました。さらにエブリイとT-BOXは、それぞれ1000〜1300ccの、軽をはみ出た6〜7人乗りワゴンも追加されました。
 サンバーバンは、旧型で人気車種だった「クラシック」をワゴンとして追加しました。

 ワゴンとなると後席にシートベルトが装着されるので、チャイルドシートが装着できるのも見逃せません。バンの場合は一部オプションなので注意してください。現在の型はすべてリヤシートベルトが付くようになりました(アクティSDXはあとから付けられます)。ただし新規格でも初期型だとリヤシートベルトのない車種が多いので、中古で買う際は要チェックです。
 まだ後席でシートベルトをしている人は少数かもしれませんが、我が家では家族でドライブの場合は、既に後席もシートベルトが常識になっています。バンやワゴン車の事故では、前席の人が助かったのに、後席の人が投げ出されて亡くなることも多いのです。
 もうひとつ気になるのがリヤシートベルトアンカーの格納方法です。エブリイ、ハイゼット/アトレー、アクティ/バモスの場合はシートフレームにボルト留めされていて、シートに挟むようにしてそのままシート格納できます。しかしミニキャブとサンバー/ディアスの場合は床面に直接ボルト留めされていて、シート格納時にいちいち出し入れしなければならず、ちょっと面倒です。
 アクティ/バモスの場合はリヤシートベルトが横からの荷物の出し入れに邪魔になることがあります。改善して欲しい点です。

 自家用車として選択するにあたってのポイントは、リヤシートの快適性に尽きます。4ナンバーでも大人4人乗車が充分可能だと思ったのは、アクティバン、ホビオPRO、サンバーバンVCplusくらいしかありません。他のメーカーはリヤの足元にミッションが通るために膝部分の高低差が確保できず、エンジンルームに阻まれてつま先がつっかえる構造なので、窮屈に感じます。そこで5ナンバーワゴンはリヤシートをスライドさせることで快適性を確保しています。
 4ナンバーは税金が安い代わりに2年車検。5ナンバーは税金は高いのですが、初回3年車検で、維持費はほとんど変わりないので、自家用なら貨物用としても5ナンバーという選択もあります。
 ただし5ナンバー車はディアス以外リヤシートをたたむと完全にフラットにならずに段差ができます。アンカー類が床面に残ってしまう設計のものもあり、荷物を積みにくいことがあります。

 エンジンがシート下にある車は、夏はお尻が暑くなることがあります。5ナンバー車より防音断熱がコストダウンされているのではないか?と思います。その点後ろにあるアクティとサンバーは、今度は荷物が暑くなります。積荷によってはエンジンの上に断熱シートを増やした方がいいでしょう。
 エアコンのききは全体に不評な場合が多いです。フロンガスが環境対応タイプに変わったからという噂がありますが、真相は不明です。管理人の場合はスモークウインドーが嫌いなのですが、エアコン対策に前3面以外は貼らざるを得ませんでした。


 会社所有などでめったに4人乗車しない場合、荷室の長さに差が出ていますので、職種によってはこちらのほうが重要かと思います。

※この表は営業グレード車で、()内は自家用兼用向けグレードです。ワゴンの場合も2人乗車時の数値は自家用兼用向けバンとほぼ同じと思われます。

※数値はメーカー発表値で、前席を標準的な日本人が運転する位置にセットした場合や、シートスライドの中間などです。というか、メーカー基準もちょっと怪しいのですが。
エブリイ ハイゼット ミニキャブ サンバー アクティ
2人乗車時荷室長 1700
(1670)
1860
(1765)
1840 1845△
(1820)
1740
(1725)
2人乗車時床面長 1860 1950 1935 1945 1840
助手席格納 2580
シートバック前倒
2630
シートバック前倒
(オプション)
2685
シートバック前倒
3000
リクライニング
2640
完全収納
4人乗車時荷室長 885
(875)
955
(880)
935 1015
(975)
920
(920)
△=助手席の数値。運転席で計測するとスペック上は広くなりますが、シートスライド量の関係で助手席が実質的荷台長になります。

 荷物を積む要素が大きい場合は、テールゲートの形にも注目してください。テールライトが張り出しているものは、荷物の積み下ろしに支障が出る場合があります。バンパーに埋め込まれている形状のものはその心配がありませんが、ボディ剛性が落ちる場合があります。あと、天井の形にも注目してください。比較的軽くてガサのある荷物の場合、上に行くほどすぼまっている形状だと積める量が少なくなってきます。

 4人乗車状態で、農家の一般的なコンテナを積む場合、荷室長が885mmあれば1段に付き5箱積めます。エブリイジョイン系と、ハイゼットカーゴクルーズ系は短いので注意してください。

エンジンとミッションの組み合わせにより、車種が決まってしまうパターン
登録 エンジン ミッション 4WD※ 車種
バン ターボ 5MT
4AT
フルタイム エブリイ・ジョインターボ
ワゴン ターボ 5MT フルタイム タウンボックスRX
ワゴン スーパーチャージャー 5MT フルタイム ディアス
バン ターボ 5MT
4AT
パートタイム ハイゼットカーゴ・クルーズターボ
バン NA 5MT
4AT
フルタイム アクティ ホビオPRO
ワゴン NA 5MT フルタイム バモス ホビオ ディアス
ワゴン NA 4AT フルタイム バモス ホビオ
ワゴン NA 4AT パートタイム タウンボックスLX/SX
※フルタイム4WDは、いずれもビスカスカップリングか類似のカップリング式
各社の名称を整理すると(Webカタログにリンク)
スズキ ダイハツ 三菱
スバル ホンダ
商用バン
(法人、営業向け。最大積載量350kg)
エブリイ ハイゼットカーゴ ミニキャブバン サンバーバン アクティバン
ワゴン風バン
(個人、自家用兼用向け。最大積載量200kgのものもあります)
エブリイ・ジョイン系 ハイゼットカーゴクルーズ サンバーVC Plus
4ナンバーディアスは廃止
ワゴン エブリイワゴン アトレーワゴン タウンボックス
(T−BOX)
ディアスワゴン
クラシックは廃止
バモス
バモスホビオ
リッターワゴン エブリイ・ランディ
(生産休止?)
アトレー7
(生産休止?)

タウンボックスワイドは生産中止

ドミンゴは生産中止
リッターバン ハイゼット・グランカーゴ
(生産休止?)

ミニインプレッション


ハイゼットカーゴ/アトレー

 普通、軽トラックとバンは同時に開発されますが、S200系以降ののハイゼットは、トラックをフルキャブのまま残し、バンだけをセミキャブ型とする変則的なモデルチェンジになりました。トラックがS100系ベースにビッグマイナーチェンジで繋いでる間に、バン/ワゴンは2回フルモデルチェンジしてしまいました。

 ハイゼット/アトレーは、どういうわけか1代おきにデザイン優先の台形フォルムモデルと、スペース効率優先の角型フォルムモデルになっています。
 2004年末(アトレーは2005年)に登場したS320/330Vは、スペース優先に生まれ変わりました。デザインは正直各社の寄せ集め的ですが、使い勝手は向上しています。テールライトも荷物の出し入れがしやすいように、バンパーに移動されました。

 管理人の運転ポジションに合わせた時の荷室長は約1730mm(アトレーで計測。恐らくクルーズ系も同じ値だと思われます。低グレードは少し広くなるはずです)で、S200系と比べて10cmほど広くなりました。
 最大の特徴は、ATは勿論MTもインパネシフトになったことです。これによりフロントシートを幅広くでき、ペダルポジションが向上しました。助手席側から乗り降りがしやすくなりました。
 インパネは乗用車的だったS200系から一転して、幾何学模様的なデザインになりました。一見安っぽくなってしまったように見えますが、使い勝手は向上しています。また、バンのハイルーフ車にはオーバーヘッドシェルフが標準装備されていて、ティッシュをすぐ取り出せる穴があいていたり、助手席の足元に運送業の携帯端末が入るスペースを設けてあるなど、ビジネスカーとしての細かい点も配慮されています。

 構造面ではエンジン縦置きのフロントミッドシップのオーソドックスなもの。S200系ではアトレーがコイル&リンク、ハイゼットカーゴがリーフリジッドというふうに使い分けられていましたが、S300系ではコイル&リンク式に統一されています。これでリーフスプリングを採用している軽のバンはアクティだけとなりました。

 ハイゼットカーゴは純商用向けのスペシャル(実質スタンダード)/デラックスと、自家用向けの「クルーズ」にはっきり分かれています。純商用モデルでもキーレスエントリーやパワーウインドー付きと装備は豪華ですが、リヤシートは狭さ、質ともとても大人が満足に乗れるものではなく、実質2人乗りと割り切った方がいいでしょう。
 その点、クルーズなら旧規格のワゴン風バン並のリヤシートが与えられていますが(バンなのでリクライニング、スライドはありません。アトレーのリヤシートスライドのほぼ一番前の位置くらいに固定されています)、エンジンルームが張り出していてつま先部分が狭く、身長164cmの管理人でも膝を抱えるような姿勢になってしまいます。これで遠出するのは遠慮したい気分です。
 それでありながら、リヤシートの格納も完全フラットではない上に4人乗車時の荷室も狭く、自家用車と仕事用の車を兼用するユーザーには不満が残ります。

 ワゴンモデルのアトレーは、ターボ、AT、ハイルーフのみに絞られてしまいました。ワゴンなのでリヤシートスライドが付いているのですが、管理人が楽に乗れるのは一番後ろに設定した状態で、荷室長は約670mmと1m近くあった旧規格から比べるとかなり狭くなってしまいました。(これでもS200系よりは広くなっていますが・・・)

 軽ワンボックスのターボATはとにかく燃費が悪く、MTとの燃費の差が激しいものです(カタログ値はあてにならないです)。私のような地方ユーザーはわざわざATを選択する理由がないのですが、そんなMTユーザーを救済するためか、クルーズにはターボMTという組みあわせがあります。エブリイのジョインターボの好敵手といったところで、ハイゼットはパートタイム4WD、エブリイはフルタイム4WDという設定になっているので、4WD方式の好みで選んでも良いでしょう。
 なお、アトレーはフルタイム4WDになっています。

 2005年9月、バン2WDのATにハイブリッド車が追加されました。軽ワンボックスのAT車は燃費が悪い傾向にあるだけに、将来的には期待されます。しかし10.15モードは公表されておらず、価格も221万円と大変高価で、現在のところ未知数な感じがします。

※管理人は現在のところ、試乗できていません。

まとめ
○角張ったスタイルで荷室が広くなった。
○インパネシフトで使い勝手が良くなった。
×MT派には組み合わせが辛い。
×バンモデルはリヤシートが狭い。
×カタログスペックほど広くない。


自営業が貨客兼用車で買う場合ののおすすめグレード・・・リヤシートを子供用と割り切って、クルーズ/クルーズターボ


S200系(1999〜2004年)
 有名なデザイナー、ジョルジェット・ジヴジァローの手がけたデザインで、斜め前から見るとなかなかいいデザインだと思います。しかし、後ろから見るとしっかり商用車としてデザインされたことがわかります。
 オフセット衝突まで対応するために、床下に太いフレームをどーんと通しました。そのために、前後席とも床が高くなり、前席はよく言えば乗用車的なやや寝そべった運転姿勢となりました。この床と荷台床面高さの差が少ないために、フラット格納されるリヤシートは薄く、足元も窮屈で、とても大人4人乗車で長距離移動できるシロモノではないと思います。(00年のマイナーチェンジでフレームとフロアが変更され、いくぶん足元が広くなったそうです)
 マイナーチェンジで助手席がたためる機能が加わりました。とはいってもアクティSDXのように完全にフラットになるのではなく、背もたれだけ前にたためるものです。
 4WDは全車パートタイム4WD。ATはコラム3速となります。

 また、全長を少し延長し1300ccエンジンを積んだ7人乗りワゴンと、それをベースにしたバンというかわったモデル「グランカーゴ」もあります。
 


○試乗記 99年4月 アトレーバンカスタムターボ 4WD 4AT
 アトレーは、ターボ4速ATの良さが光りました。「これが軽か?」と思ったくらいです。タイヤが165/70R13ということと、フルタイム4WDの影響で、走りはしっかりとしていて、一見スポーティに感じました。
 セミキャブで気になる足元は、MT車でも思ったよりは自然な感じでした。確かにセンタートンネルがある分窮屈ではありますが、他のセミキャブ車より「前に踏む」という感じなので、クラッチ操作していない時の左足の位置も楽でした。ただ、アクセルペダルを踏むと靴の右側がホイールハウスに擦れます。

  なおワゴン登場時に新欧州基準オフセット前面衝突基準対応が明記されました。更にマイナーチェンジで64km/hオフセット対応になりました。写真を見る限りバンと構造的に変わったところがないので、バンもオフセット基準対応と見て間違いないでしょう。



まとめ
○ホイールベースが長くて安定性が良い。
○コラムATで(私にとっては)運転しやすい。
○運転姿勢が乗用車的。
×室内が狭い。リヤシートのひざのところが窮屈で、大人は乗るに耐えない。やはりワゴンを前提とした設計のようだ。ワゴンは4人乗車OK。

自営業が貨客兼用車で買うとしたら・・のおすすめグレード・・・アトレーワゴン

アトレーのことならアトレークラブ2号店へ・・・。

エブリイ(マツダスクラムも兄弟車)

 他社はバンとワゴンで呼称を変えているのに対して、スズキはトラックが「キャリイ」、バンとワゴンが「エブリイ」、マツダはシリーズ全てが「スクラム」で統一されています。
 旧規格モデルには一時期アクティと似たリヤ横置きミッドシップレイアウトのエブリイがありましたが、新規格は諸外国に3列シートモデルとして輸出するためか、フロントミッドシップ縦置きレイアウトになりました。

 2005年8月にフルモデルチェンジした新規格第2世代のDA64系は、軽ワンボックス全体の流行である実用性重視の角張ったフォルムに一新されました。テールライトの位置が凝っていて、ワゴンは強度優先か横、バンは荷物の出し入れ優先かバンパー(標準ルーフのみワゴンのボディを流用するためか横)に設定されています。

 一見すると2年早くモデルチェンジしたキャリイと共通のアウトラインに見えますが、実はキャリイが新規格第1世代のシャシフレーム(プラットホーム)を改良した物(52-62型とはデザインが全く違えど、メーカー発表は「マイナーチェンジ」)に対して、エブリイは基本から完全新設計で別物です。バンパーなどの互換性はありません。
 オフセット衝突は勿論、腰部分のシートベルトも引き込まれるダブルプリテンショナー(運転席側のみ)、可変フォースリミターを採用。ABSにもEBDを追加。頭部衝撃吸収構造の内装など、安全性にも力が入っています。

 ATは旧モデル後半からインパネシフトでしたが、今回MTもインパネシフトとなり、ハイゼットと同じく運転ポジションが良くなりました。最近の軽キャブオーバーには珍しい、暖かみのあるブラウン系の内装色が特色です。

 エンジンこそ従来と同じK6Aですが、MTのミッションが新しくなり、5速が直結(普通は4速が直結で5速は「オーバードライブ」)となりました。恐らく実際の使われ方を考慮して、燃費に少しでも有利になることかと思います。そのおかげか、ジョインターボの5MTで10.15モード燃費が17.0とかなり向上しています。カタログ値ではNAよりもトラックよりも上なのです。しかし、この魅力的な組み合わせがワゴンにはなく、リヤシートが狭いバンのジョインだけになってしまうのが残念でなりません。

 グレードはアルファベット2文字になっているのが純商用で、ハイゼットと同じくリヤシートは人が乗れるものではありません。
 自家用向け(ただし積載量350kg)モデルが「ジョイン」で、一見立派な分割可倒リヤシートになっていますが大人男性には足元が窮屈で、格納時に段差ができ、4人乗車時の荷室が狭いのもハイゼットクルーズの好敵手です。
 同じ構造の三菱タウンボックスは、エンジンルームの空きスペースにちょっとえぐりを入れることで、リヤシートの快適性と荷室を両立させているので、スズキ、ダイハツとももっと工夫してもらいたいものです。

 実は実際の室内長がクラス最短で、身長164cmの管理人が運転ポジションを取ったところで荷室長164cm(ジョイン)。ちょっと前に出して安全上問題なく我慢できるポジションで167cmでした。管理人のアクティバンはカタログ値と同じ174cmがベストポジションなので、アクティやハイゼットに比べて、実質10cm近くも狭いことになります。
 ワゴンのリヤシートもアトレー同様スライドすることで快適性を確保していますが、管理人は一番後ろでなくてもまあまあ快適で、この時の荷室長はアトレーより若干余裕の約70cmでした。

 ミッションとエンジンの組み合わせは、ワゴンがターボATとNAのMT&AT。ジョインにターボ、NA共にMTとATの組み合わせがあり、ナンバーには関係なくターボが4AT、フルタイム4WD。NAが3AT、パートタイム4WDとなっています。
 ターボMTやバンのターボが欲しい場合、ハイゼットがパートタイム4WD、エブリイがフルタイム4WDになっているので、4WD方式で選んでも良いでしょう。

以下工事中。管理人はまだ試乗できてません。


DA52-62系
 全体には可もなく不可もなく的な優等生の感じがします。価格が安いのが特徴でしょう。
 リヤシートの足元は旧型よりは狭いものの、アトレーバンやミニキャブバンよりは幾分広く感じました。ワゴンはこれより9センチほどリヤシートが後ろにつきます。バンの時はイマイチでしたが、ワゴンの登場で魅力的となりました。
 乗用車兼用として使うなら、安全装備や4スピーカーステレオ、パワーウインドーなど必要なものはすべて装備されて131万円と割安です。
 4WDシステムは、バンのNAはパートタイム4WD、ワゴンとバンのターボ車はカップリング式のフルタイム4WDとなります。
※キャリイと同じく、途中でエンジンが変わっています。DA/DB52V(W)はF6A、DA62V(W)はオールアルミDOHCのK6Aです。同時にインパネも変わっています。中古で買う際はご注意ください。

試乗記 ’99年 エブリイ ジョインターボ
 エブリィのSiターボは、ビックリするほどのパワーは感じられません。あくまでも自然な感じです。足回りが商用車っぽく、エンジン音もやや耳につきます。アトレーより全体にバンらしさが感じられます。しかし、フルキャブオーバーの旧型よりはずっと進歩しました。4WDは全車パートタイムです。クラッチペダルの位置が左に感じ、MT車では慣れるまでちょっと左足が落ちつかない感じがしました。アトレーより足元は広いんですが・・・。

99年12月にマイナーチェンジ。ターボが64馬力となり、フルタイム4WDと4速ATが追加されました。

 ちなみに、7人乗り1300ccののエブリイランディは、フルタイム4WD、4速AT(MTはなし)となっています。ただし、2列目のシートがたためないので、バンとしては使えません。


○小回りがきく。バンパーの回転半径なら旧軽バンと互角。
×ペダルオフセットが大きく、MT車だと違和感がある。

自営業おすすめグレード・・・ジョイン、ワゴン


ミニキャブバン/T−BOX

 よく雑誌でアトレーVS T−BOXという記事があります。たいていは5ナンバーの先入観からか、T−BOXの方が「乗り心地が良い」と書いてありますが、私はアトレーのややスポーティな味付けの方が良いと感じました。(2誌ほどアトレーに軍配を上げた雑誌がありました)あとは好みの問題です。どちらも乗り心地は良好。フルキャブオーバーとは別世界です。

 最上級のRX4速AT車に試乗しました。ターボとの組み合わせなのか、加速すると結構ショックを感じました。この点はアトレーのほうが滑らかです。あとは良好としかいいようがありません。
 とにかく室内が広いです。荷台長を180cm確保している上、角張ったデザインなので旧軽バンより多く積めそうです。
 ミニキャブバンのリヤシートは、床から座面までの差が少なく、ハイゼットカーゴ同様に窮屈な感じがします。実は前後方向にはT−BOXのとり付け位置と同じなのです。ちょっと座面を高くしたT−BOXの足元は広々です。また、バンのリヤシートにはヘッドレストが付きません。
 マイナーチェンジで助手席がたためる機能が加わりました。とはいってもアクティSDXのように完全にフラットになるのではなく、背もたれだけ前にたためるものです。
 初期型は全車パートタイム4WDでしたが、現在はターボのみカップリング式のフルタイム4WDになっています。

 一時期1000cc6人乗りのT−BOXワイドが追加されました(現在は廃止されました)。3列目のシートはどう見ても補助席で、かなり窮屈です。その分コンパクトに折りたためるので、ふだんはバン兼用の4人乗り、いざとなったら補助席を出して6人乗りという使い方がマッチするでしょう。なお、ワイドは標準ルーフのみです。

○とにかく広い。ハイゼットとエブリィより一回り広い。
○ペダルオフセットが少なく、MTでもあまり違和感がない。
○リヤシートベルト(チャイルドシート対応)がグレードに関係なくオプションで付く。
○ABS、両席SRSがグレードに関係なくオプションで付く。
○低グレード車でも助手席がリクライニングする。
○商用バンにも4速ATがある。(CL)
×リアシートが狭い。ひざを抱える体育座りになる。4人乗車ならタウンボックス。
×比較的小回りがきかない。(改善されました)

 初期型のバンは最上級のCLにしかエアコンが付かなかったのですが、マイナーチェンジで全車標準となりました。また、CL、CDは集中ドアロックが付き、カラードバンパーとなりました。最低グレードのCSでも集中ドアロックがオプションでつくので、グレードによる差が少ないような気がします。

自営業おすすめグレード・・・T-BOX


サンバー

 軽ワンボックス唯一のフルキャブオーバーです。荷室や後席の広さはミニキャブよりさらに広いです。
4WD方式は、4ナンバーのMTがパートタイムで、AT全車と5ナンバー車がフルタイム4WDとなります。
 一時期5ナンバーでクラシックが復活していたのですが、廃止されてしまいました。
 5ナンバーでもリヤシートがほぼフラットに格納でき、アンカーもあまり露出していないので、貨物車としても充分使えます。逆に4ナンバーのVC Plusでもリヤシートが充分に広く、リクライニングしないだけなので、フルタイム派なら5ナンバー、パートタイム派なら4ナンバーという選択でもいいでしょう。

○広い。広さならNo,1
○リヤシートの足元も充分。大人4人はラクラク。(ただし一体可倒式は高低差が不足)
○もちろん、ペダルオフセットの問題はなし。
○ATがコラム(風)で、助手席側への移動が楽。
×走りはやっぱりフルキャブの限界・・かなぁ・・・。
×ATが3速しかない。
×唯一オフセット衝突に対応していない。
×せっかく広いのにテールライトのはみ出しで荷物の出し入れがしにくい。

おすすめグレード・・・VC Plus ディアス系


アクティバン

 特徴はクラストップレベルの衝突安全性と、4ナンバーでもまずまず快適なリヤシートです。
 グレードはタウンとSDX(他に2人乗りもあり)。その違いはリヤシートベルト&ヘッドレスト、AM/FMカセットステレオくらいです。どちらも前席はファブリックシート。SDXのリヤシートはビニールです。こちらにもディーラーオプションでリヤヘッドレスト(5千円。ただし表記は「ピロー」で大人男性には高さが不足気味)とリヤシートベルト(1万8千円)が付きます。
 SDXには助手席スライド&リクライニングがない(3段階に少しはリクライニングできます)代わりに、後席に加えて助手席もたたんで2640mmと長大な荷台にできるという機能があり、どちらにするか迷うところです。
 追記:TOWNが廃止され、バモスホビオPROになりました。

 床(足元)が低く設計されているため、バンとしてはリヤシートの厚みがある方です。さらに前席の下につま先が入るので、商用バンでも4人きちんと乗れます。4人乗車状態は、ハイゼットカーゴ、ミニキャブバン、エブリィバンより実用的です。

 メカニズムはリヤミッドシップ。4WDはビスカス式フルタイムです。
○64キロオフセット衝突にも対応。
○4人乗車もラクラク。
○助手席完全格納。
○グレードに関係なく集中ドアロックが標準。地味ながらポイント高し。
○グレードに関係なく両席SRSが標準。ABSはオプション。
○グレードに関係なくタコメーターがつく(2003年4月〜)
×46馬力は不満。
×ガソリンタンク容量が37リットルとやや小さめ
×Bピラーが太くて、身長の大きな人は右の視界が悪い。

自営業おすすめグレード・・・ホビオPRO リヤヘッドレスト、3点式シートベルトを付ければSDXもOK。

バモス
アクティバンをベースにしたワゴン車です。後席フラット格納をあえてせず、ワゴンに特化しています。リヤシートをたたんだ時の荷台長は1480mm。荷台に寝ることはできません。(MCでフラット格納できるようになりました)
2000年2月 バモスにターボ4速AT追加。ターボなし4WD+4速ATもバモスアクティバンに追加されました。

バモスホビオ
基本的にはバモスのハイルーフバージョン。荷室にいろいろ工夫できるギミックがあります。

バモスのことならこちらへ・・。
「わ」軽1ボックスワゴンを比較し、実際に購入したTAKEさんの購入記。  

VAMOS Home Page 大原さんのページ。








一応試乗記(99年7月10日・・すいません、古いです。)
試乗車:Mタイプ4WD MT エアロパーツ付き
一番気になるパワーは、平地なら充分といったところ。5000回転までは少々もたつく感じですが、高回転域を使えば結構元気に走ります。ノイズや振動が少ない(というよりまろやかに感じます)なので、加速している感じがないのかもしれません。
メーターを見るといつのまにか60キロまで出ているという感じです。昔の軽バンのつもりでいると、うっかり80キロまで出てしまいました。
さすがに全力加速するとノイズもそれなりですが、エンジンが温まって巡航モードに入ると、とても静かです。
ただ、4人乗車で高速を走るとか、峠越えではパワー不足だと思います。そんな時はタコメーターを見て、4000回転以下に落とさないように注意が必要です。(やはりトラックにもタコメーターが必要だと感じました)
これはバモスだけが特別なのではなく、軽1ボックスのNA車はどれも同じようなものですが・・・。

私のトラックと同じダンロップのトラック用145R12 8プライタイヤで、空気圧は前2.2、後3.5キロ(トラックは前2.0後、4.5キロ)なのですが、乗り心地はソフトで、かつ腰もしっかりしている感じがしました。(ハードなコーナーリングはしていませんが)リーフスプリングは乗り心地が悪いという図式は、忘れた方がいいと思います。事前にタイヤのデータだけを見ると165/65R13あたりに換えたいと思ったのですが、純正タイヤでもかなり高次元でバランスが取れている感じがします。先入観がなければ、ライバル車の13インチと大差がないと感じました。
ちなみに、純正装着タイヤは他にブリヂストン、ヨコハマがありますが、どれも大差はないでしょう。

ハンドリングはしっかりしています。トラックでは荷物を積んだ時でも、ハンドルが軽いようにパワステが軽過ぎるくらいの設定なのですが、バモスはそれよりはやや重めの設定に感じました。或いはアライメントから違う設定に感じます。高速域ではエアロパーツがきいているのでしょうか?80キロでも安定していました。
トラックでは直進性にちょっと神経質なところがあるのですが、こちらはほとんど問題なし。軽クラスとしてはハンドルはしっかりしています。勿論、ライフなどと比べるとコーナーリング性能はそれなりに落ちるのでしょうが、クルマの性格から考えると充分過ぎると思います。フルキャブオーバーとは雲泥の差です。

室内はアトレーバンを除いたライバル車よりやや狭い感じがします。前席をいっぱいに下げると後席の足元が苦しいくらいです。ひざ前○cmという計り方ではライバル車の方が広いでしょう。しかし、前席の下につま先が入るので、普通のシートポジションでは何ら問題はありません。4人乗車のラゲッジスペースは、アトレー、エブリィのワゴンより広いと思います。
リヤシートはクラスの中では平均的ですが、どうせフラット収納しないのなら、背もたれをもう少ししっかりしてもらいたいと思います。前席のつくりは結構しっかりしているだけに、後席の貧弱さが気になりました。ただし、軽ワゴンで本当に満足できる後席はまだないと思います。

総じていうと、普段は通勤や奥さんの買い物クルマとして、週末にキャンプや釣り、スキーに行く車としてはまずまずだと思います。
パワーやリヤシートはイマイチですが、細かい作りはしっかりしていると感じました。
ただし、主にバンとして使うのなら、アクティバンや他メーカーのワゴン車にした方がいいのではないでしょうか?



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