注:基本的に4人乗りを中心に書いています。「全車」と言っても一部2人乗りグレードが当てはまらない場合があります。また、実用車としてとりあげています。乗用車がわりにと考える人はそれぞれのオーナークラブのサイトを参照してください。
一見同じように見えるバンとワゴン。違いはバン=貨物車=4ナンバー、ワゴン=乗用車=5ナンバーということ。バンは定員乗車した状態で、リヤシート部分より荷物スペースの方が広くなければいけません。そのため、リヤシートのスライドやリクライニングがありません。 農家や自営業ではには、軽ワンボックスもよく使われます。ふだんは4人乗りの乗用車として、雨が降っているときには荷物を満載して出荷にも行けます。私も長い間乗っていたのですが、その便利さはなかなか他の車にはないものです。 新規格バンが出て気になったのは、ダイハツ、三菱、スズキの3社で後席の床面が高く、旧軽バンと比較して窮屈になりました。特に後席が薄い低グレード車は、身長の低い私でもひざをかかえるような姿勢になり、乗るに耐えないものがあります。 そこでミニキャブとアトレーとエブリイは、5ナンバーの「ワゴン」を設定しました。よく「軽ワゴン」と呼ばれますが、日本ではワゴンとは乗用を目的とした5ナンバー車であり、貨物車登録の従来のワンボックス車は「バン」と呼ぶのが本当でした。しかし、これで名実と共に「軽ワゴン車」となりました。 少し遅れてホンダもストリート後継車「バモス」をワゴンとして出しました。さらにエブリイとT-BOXは、それぞれ1000〜1300ccの、軽をはみ出た6〜7人乗りワゴンも追加されました。 サンバーバンは、旧型で人気車種だった「クラシック」をワゴンとして追加しました。 ワゴンとなると後席にシートベルトが装着されるので、チャイルドシートが装着できるのも見逃せません。バンの場合は一部オプションなので注意してください。現在の型はすべてリヤシートベルトが付くようになりました(アクティSDXはあとから付けられます)。ただし新規格でも初期型だとリヤシートベルトのない車種が多いので、中古で買う際は要チェックです。 まだ後席でシートベルトをしている人は少数かもしれませんが、我が家では家族でドライブの場合は、既に後席もシートベルトが常識になっています。バンやワゴン車の事故では、前席の人が助かったのに、後席の人が投げ出されて亡くなることも多いのです。 もうひとつ気になるのがリヤシートベルトアンカーの格納方法です。エブリイ、ハイゼット/アトレー、アクティ/バモスの場合はシートフレームにボルト留めされていて、シートに挟むようにしてそのままシート格納できます。しかしミニキャブとサンバー/ディアスの場合は床面に直接ボルト留めされていて、シート格納時にいちいち出し入れしなければならず、ちょっと面倒です。 アクティ/バモスの場合はリヤシートベルトが横からの荷物の出し入れに邪魔になることがあります。改善して欲しい点です。 自家用車として選択するにあたってのポイントは、リヤシートの快適性に尽きます。4ナンバーでも大人4人乗車が充分可能だと思ったのは、アクティバン、ホビオPRO、サンバーバンVCplusくらいしかありません。他のメーカーはリヤの足元にミッションが通るために膝部分の高低差が確保できず、エンジンルームに阻まれてつま先がつっかえる構造なので、窮屈に感じます。そこで5ナンバーワゴンはリヤシートをスライドさせることで快適性を確保しています。 4ナンバーは税金が安い代わりに2年車検。5ナンバーは税金は高いのですが、初回3年車検で、維持費はほとんど変わりないので、自家用なら貨物用としても5ナンバーという選択もあります。 ただし5ナンバー車はディアス以外リヤシートをたたむと完全にフラットにならずに段差ができます。アンカー類が床面に残ってしまう設計のものもあり、荷物を積みにくいことがあります。 エンジンがシート下にある車は、夏はお尻が暑くなることがあります。5ナンバー車より防音断熱がコストダウンされているのではないか?と思います。その点後ろにあるアクティとサンバーは、今度は荷物が暑くなります。積荷によってはエンジンの上に断熱シートを増やした方がいいでしょう。 エアコンのききは全体に不評な場合が多いです。フロンガスが環境対応タイプに変わったからという噂がありますが、真相は不明です。管理人の場合はスモークウインドーが嫌いなのですが、エアコン対策に前3面以外は貼らざるを得ませんでした。 会社所有などでめったに4人乗車しない場合、荷室の長さに差が出ていますので、職種によってはこちらのほうが重要かと思います。 ※この表は営業グレード車で、()内は自家用兼用向けグレードです。ワゴンの場合も2人乗車時の数値は自家用兼用向けバンとほぼ同じと思われます。 ※数値はメーカー発表値で、前席を標準的な日本人が運転する位置にセットした場合や、シートスライドの中間などです。というか、メーカー基準もちょっと怪しいのですが。
△=助手席の数値。運転席で計測するとスペック上は広くなりますが、シートスライド量の関係で助手席が実質的荷台長になります。
荷物を積む要素が大きい場合は、テールゲートの形にも注目してください。テールライトが張り出しているものは、荷物の積み下ろしに支障が出る場合があります。バンパーに埋め込まれている形状のものはその心配がありませんが、ボディ剛性が落ちる場合があります。あと、天井の形にも注目してください。比較的軽くてガサのある荷物の場合、上に行くほどすぼまっている形状だと積める量が少なくなってきます。
4人乗車状態で、農家の一般的なコンテナを積む場合、荷室長が885mmあれば1段に付き5箱積めます。エブリイジョイン系と、ハイゼットカーゴクルーズ系は短いので注意してください。
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スズキ | ダイハツ | 三菱 |
スバル | ホンダ | |
商用バン (法人、営業向け。最大積載量350kg) |
エブリイ | ハイゼットカーゴ | ミニキャブバン | サンバーバン | アクティバン |
ワゴン風バン (個人、自家用兼用向け。最大積載量200kgのものもあります) |
エブリイ・ジョイン系 | ハイゼットカーゴクルーズ | ― | サンバーVC Plus 4ナンバーディアスは廃止 |
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ワゴン | エブリイワゴン | アトレーワゴン | タウンボックス (T−BOX) |
ディアスワゴン クラシックは廃止 |
バモス バモスホビオ |
リッターワゴン | エブリイ・ランディ (生産休止?) |
アトレー7 (生産休止?) |
タウンボックスワイドは生産中止 |
− ドミンゴは生産中止 |
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リッターバン | − | ハイゼット・グランカーゴ (生産休止?) |
− | − | − |
ハイゼットカーゴ/アトレー ○試乗記 99年4月 アトレーバンカスタムターボ 4WD 4AT アトレーは、ターボ4速ATの良さが光りました。「これが軽か?」と思ったくらいです。タイヤが165/70R13ということと、フルタイム4WDの影響で、走りはしっかりとしていて、一見スポーティに感じました。 セミキャブで気になる足元は、MT車でも思ったよりは自然な感じでした。確かにセンタートンネルがある分窮屈ではありますが、他のセミキャブ車より「前に踏む」という感じなので、クラッチ操作していない時の左足の位置も楽でした。ただ、アクセルペダルを踏むと靴の右側がホイールハウスに擦れます。 なおワゴン登場時に新欧州基準オフセット前面衝突基準対応が明記されました。更にマイナーチェンジで64km/hオフセット対応になりました。写真を見る限りバンと構造的に変わったところがないので、バンもオフセット基準対応と見て間違いないでしょう。 まとめ ○ホイールベースが長くて安定性が良い。 ○コラムATで(私にとっては)運転しやすい。 ○運転姿勢が乗用車的。 ×室内が狭い。リヤシートのひざのところが窮屈で、大人は乗るに耐えない。やはりワゴンを前提とした設計のようだ。ワゴンは4人乗車OK。 自営業が貨客兼用車で買うとしたら・・のおすすめグレード・・・アトレーワゴン アトレーのことならアトレークラブ2号店へ・・・。
エブリイ(マツダスクラムも兄弟車)
ミニキャブバン/T−BOX
サンバー
アクティバン 一応試乗記(99年7月10日・・すいません、古いです。) 試乗車:Mタイプ4WD MT エアロパーツ付き 一番気になるパワーは、平地なら充分といったところ。5000回転までは少々もたつく感じですが、高回転域を使えば結構元気に走ります。ノイズや振動が少ない(というよりまろやかに感じます)なので、加速している感じがないのかもしれません。 メーターを見るといつのまにか60キロまで出ているという感じです。昔の軽バンのつもりでいると、うっかり80キロまで出てしまいました。 さすがに全力加速するとノイズもそれなりですが、エンジンが温まって巡航モードに入ると、とても静かです。 ただ、4人乗車で高速を走るとか、峠越えではパワー不足だと思います。そんな時はタコメーターを見て、4000回転以下に落とさないように注意が必要です。(やはりトラックにもタコメーターが必要だと感じました) これはバモスだけが特別なのではなく、軽1ボックスのNA車はどれも同じようなものですが・・・。 私のトラックと同じダンロップのトラック用145R12 8プライタイヤで、空気圧は前2.2、後3.5キロ(トラックは前2.0後、4.5キロ)なのですが、乗り心地はソフトで、かつ腰もしっかりしている感じがしました。(ハードなコーナーリングはしていませんが)リーフスプリングは乗り心地が悪いという図式は、忘れた方がいいと思います。事前にタイヤのデータだけを見ると165/65R13あたりに換えたいと思ったのですが、純正タイヤでもかなり高次元でバランスが取れている感じがします。先入観がなければ、ライバル車の13インチと大差がないと感じました。 ちなみに、純正装着タイヤは他にブリヂストン、ヨコハマがありますが、どれも大差はないでしょう。 ハンドリングはしっかりしています。トラックでは荷物を積んだ時でも、ハンドルが軽いようにパワステが軽過ぎるくらいの設定なのですが、バモスはそれよりはやや重めの設定に感じました。或いはアライメントから違う設定に感じます。高速域ではエアロパーツがきいているのでしょうか?80キロでも安定していました。 トラックでは直進性にちょっと神経質なところがあるのですが、こちらはほとんど問題なし。軽クラスとしてはハンドルはしっかりしています。勿論、ライフなどと比べるとコーナーリング性能はそれなりに落ちるのでしょうが、クルマの性格から考えると充分過ぎると思います。フルキャブオーバーとは雲泥の差です。 室内はアトレーバンを除いたライバル車よりやや狭い感じがします。前席をいっぱいに下げると後席の足元が苦しいくらいです。ひざ前○cmという計り方ではライバル車の方が広いでしょう。しかし、前席の下につま先が入るので、普通のシートポジションでは何ら問題はありません。4人乗車のラゲッジスペースは、アトレー、エブリィのワゴンより広いと思います。 リヤシートはクラスの中では平均的ですが、どうせフラット収納しないのなら、背もたれをもう少ししっかりしてもらいたいと思います。前席のつくりは結構しっかりしているだけに、後席の貧弱さが気になりました。ただし、軽ワゴンで本当に満足できる後席はまだないと思います。 総じていうと、普段は通勤や奥さんの買い物クルマとして、週末にキャンプや釣り、スキーに行く車としてはまずまずだと思います。 パワーやリヤシートはイマイチですが、細かい作りはしっかりしていると感じました。 ただし、主にバンとして使うのなら、アクティバンや他メーカーのワゴン車にした方がいいのではないでしょうか?
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