河北民報 2005年01月28日号

十二月定例議会で国保税増税が決められました。その問題点や、木村章一、斎藤隆両町議が一般質問などで取り組んだ内容についてお知らせします。

町の社会保障制度(国保)を守ろう
17年度は平均8・6%も増税 
原案通り増税に

国民健康保険税の増税を決める条例改正案は、当局原案のとおり賛成16反対2で決定しました。

3年連続の1年目

この条例改正は3年連続増税の最初の1年目で、平均8・6%ですが、低所得で家族が多い世帯などは14%もの増税になると説明されています。

日本共産党議員団は質疑や討論で次のように問題点を指摘し、今回の増税案に反対しました。

継続利用できる国保制度にせよ

国民健康保険は町民のもっとも大事な社会保障制度の一つです。
この国保制度を町民が気軽に利用して、健康を守るために活用し続けることができる制度にすることが大事です。

一般会計繰入を全国並みに

そのためには、現在一人当たり2千円程度の一般会計繰入を全国の市町村並みに7千円程度にし、また県にも繰入を求めて国保会計を支える方法があります。

しっかり分析を

一人当たりの医療給付費は3年前に10%以上も急上昇し単年度赤字転落の原因の一つになりましたが昨年は5%減少しています。
過去の動向をしっかり分析せず、昨年だけの数字を元にして今後の医療給付費を推計しているのは問題があります。
また前期高齢者の一人当たりの医療給付費は、毎年平均年齢が上がり、それに加えて医療費も増加する傾向が明らかなのに、6年間も一定額のままと推計していて、問題があります。

3年では40%増税のケースも

3年間では平均26・4%の増税計画といいますが、応益あん分を50%に設定したため、3年間で40%も増税になるケースもあると町は説明しており、これはひどすぎます。
ひどい保険証取り上げ
どんどん税負担を増やされ、国保税を支払えなくなって滞納せざるを得なくなると、短期保険証や資格証明、給付停止という形で保険証を取り上げるというのはひどすぎます。

滞納者に心を寄せて
町民が気軽に利用できる医療保険を提供することが国保制度の目的です。
鶴岡市などのように全員に保険証を渡すようにできるはずです。
滞納せざるを得ない国保加入者には、心を寄せて、相談しやすい環境づくりなどに努力する必要があります。
〔議員団にも気軽にご相談を〕

背景に国の付け回し
医療費の増加傾向に加えて前期高齢者分の国の負担付け回しが大きな負担増になっています。
世論の力で国の負担付回しをやめさせる必要があります。

次の増税はよく見て慎重に検討を
18、19年度にも国保税の増税が計画されています。
国保会計の動きや、国保加入者の税負担能力と国保税額の関係などをよく見て慎重に次の増税内容を検討する必要があります。

憲法9条(平和条項)を守ろう

憲法前文と同じ考えと町長
「九条の会」のアピールに考えは

斎藤隆議員は一般質問で、平和憲法を守ろうとノーベル賞作家の大江健三郎氏など著名な文化人が「九条の会」をつくり、戦争を放棄する平和条項の9条を守ろうというアピールを発表したが、どんな感想を持つか聞きました。
田宮町長は、憲法前文に対しては同じ考えだが、アピールについてはイエス・ノーを言うことは差し控えたいと答弁しました。

斎藤隆議員が質問の中で取り上げた、昭和22年8月に文部省が発行した中学1年生向けの「あたらしい憲法のはなし」という教科書の、9条を説明した1節を紹介します。

戦争の放棄文部省の教科書より
六 戦争の放棄
みなさんの中には、こんどの戦争に、おとうさんやおにいさんを送り出された人も多いでしょう。ごぶじにおかえりになったでしょうか。それともとうとうおか えりにならなかったでしょうか。またくうしゅうで、家やうちの人を、なくされた人も多いでしょう。いまやっと戦争はおわりました。二度とこんなおそろし い、かなしい思いをしたくないと思いませんか。こんな戦争をして、日本の国はどんな利益があったでしょうか。何もありません。ただ、おそろしい、かなしい ことが、たくさんおこっただけではありませんか。戦争は人間をほろぼすことです。世の中のよいものをこわすことです。だから、こんどの戦争を仕掛けた国に は、大きな責任があるといわなければなりません。このまえの世界戦争のあとでも、もう二度とやるまいと、多くの国々ではいろいろ考えましたが、またこんな 大戦争をおこしてしまったのは、まことに残念なことではありませんか。
そこでこんどの憲法では、日本の国が、けっして二度と戦争をしないよう に、二つのことをきめました。その一つは、兵隊も軍艦も飛行機も、およそ戦争をするためのものは、いっさいもたないということです。これからさき日本に は、陸軍も海軍も空軍もないのです。これを戦力の放棄といいます。「放棄」とは「すててしまう」ということです。しかしみなさんはけっして心ぼそく思うこ とはありません。日本は正しいことをほかの国よりさきに行ったのです。世の中に、正しいことぐらい強いものはありません。


もう一つは、 よその国と争いごとがおこったとき、けっして戦争によって、相手をまかして、じぶんのいいぶんをとおそうとしないということをきめたのです。おだやかにそ うだんをして、きまりをつけようというのです。なぜならば、いくさをしかけることは、けっきょく、じぶんの国をほろぼすようなはめになるからです。また戦 争とまでゆかずとも、国の力で、相手をおどすようなことは、いっさいしないことにきめたのです。これを戦争の放棄というのです。そうしてよその国となかよ くして、世界中の国が、よい友だちになってくれるようにすれば、日本の国は、さかえてゆけるのです。
みなさん、あのおそろしい戦争が、二度とおこらないように、また戦争を二度とおこさないようにいたしましょう。


溝延温泉の早期活用を
木村章一議員は一般質問で、溝延温泉の活用を求めました。
町は、紅寿の里のみゆき会に溝延温泉の源泉周囲の土地、約250㎡の持分5分の4を無償提供しました。
一方、町は溝延温泉の温泉権の5分の1(毎分約100リットル分)を取得することになりました。
木村議員は、この温泉権、毎分100リットルの温泉を、地域と町全域の振興や健康づくりに役立つように早期に活用すべきだと質問しました。
町長は、ひなの湯と競合しないようにしながら、町民の財産として活用したいと答えました。

溝延の足湯オープンは2月2日から

また町長は、みゆき会で紅寿の里の隣に足湯建設に着手しているので、その利用状況を見ながら検討したいと述べました。
溝延温泉の足湯は2月2日にオープン式が行われる予定です。

町史編さん体制の維持を

歴史と文化の町といわれる河北町で、町史編さんや古文書を解読しながら貴重な資料を整理する作業が進んでいます。
木村議員は町史編さんの体制は現在、非常勤の専門員と補助員、古文書解読のチームがバランスよく配置されているので、国の緊急雇用対策事業が終わっても、 この体制を維持すべきではないか、また、寄付を受けた宮本家資料は町おこしに役立つように整理すべきではないかと質問しました。
町長は、今後の体制の必要性は認識している。またボランティアの活動なども期待している。
まちづくり事業のソフト面の考え方は、宮本家資料の町おこしへの活用のようなところにある、と答弁しています。