初期型(管理人のTOWN)と後期型SDX 2000年12月モデルチェンジ
安全性を追求したはいいが・・
HA7初期型 99年式 タウン 4WD ABS&エアコン装備 前440:後410kg 約52:48 HA6後期型 04年式 SDX 2WD エアコン&パワステ装備 前410:後410kg 50:50
ホンダアクティは、その前身であるT360の時代からトラックの常識にとらわれないちょっと変わった軽トラックという存在でした。
1963年にホンダの4輪車第1号として登場したセミキャブトラックT360は、日本初のDOHC、4気筒30馬力エンジンを搭載し、当時の軽として破格の時速100km/h巡航可能を売り物にしていました。 続いてフルキャブ、2気筒エンジンに変わったTN360では、FF乗用車のエンジンとミッションをそっくり荷台下に移動させ、後輪が軽くなりがちなトラックの欠点を補うというレイアウトになりました。また、リーフ式ド・ディオンという一風変わったサスペンションを配することでバネ下重量を軽減すると共に、最低地上高を確保。更には荷台もフレームの一部にしてしまうモノコック構造という、現在のアクティに繋がる基礎ができあがりました。 他社より遅れた1983年の4WD登場時も、クラス初の4WD+5速、前輪ディスクブレーキ、翌年は軽自動車初の4WD+ATと積極的に採用し、1988年には走行安定性向上を狙ってビスカスカップリング式のフルタイム4WD(商品名リアルタイム4WD)、高速巡航向きのハイギヤード設定とするなど、他の軽トラックとは違う路線を貫いてきました。 現在のアクティは、他社より数ヶ月遅れて1999年5月に登場しました。未だ他社にはないオフセット衝突対応を始めとして、対歩行者安全、室内頭部保護、全車運転席SRSエアバッグとシートベルトブリテンショナー、ロードリミッター完備、オプションのABSを選択するとブレーキアシストに加えて前後のブレーキ力を適正に配分する「EBD」も装備、ノーマルバルブでも明るくて見やすいマリチリフレクターヘッドライト・・・・と、安全装備の充実は特筆ものです。また、10万キロメンテナンスフリーのイリジウムプラグ採用も話題になりました。ただし車重は旧規格比100kgも重くなりました。他社に比べてもかなり重いです。 2001年度、「自動車事故対策機構」で兄弟車バモスの衝突試験などが行われました。側面衝突でトラックとは構造がまったく違うのと、車重が違い、補強している部分も多少異なるので、実際にアクティトラックを試験した場合は評価が違ってくるはずです。あくまでも参考程度ですが、まったくあてにならないものでもないと思います。 アクティトラックのクラッシュテスト車両写真(モーターショーから)。 グレード STD(2WD・5MTのみ):SDXから鳥居(&荷台ライト)、ラジオ(&時計)、シガライター、パワステ、助手席サンバイザーを省いた廉価仕様です。間欠ワイパーとトリップメーターは付いています。オーディオのスペースはぽっかり空いていて、蓋すらオプションというのがイカしてます。 SDX:パワステ付きの基本仕様です。2種類が選べる鳥居、荷台作業ライト、みち板ひっかけ式テールゲートなどが標準装備されています。ラジオはAMのみ1スピーカー(時計つき)、エアコンは別です。助手席SRSエアバッグ、ABSもオプションで装着できます。 ATTACK(4WD・5+UL/UR・MTのみ):SDXにウルトラロー/ウルトラリバースの極低速ギアとデフロックを追加した農林業仕様です。1万3千円高いだけなので、かなりお買い得だと思います。ただし、ABSは付きません。 SDX−N/ATTACK-N:SDX及びATTACKからパワステを省いた仕様で、3万円安くなります。ただし助手席SRSエアバッグ及びABSは装着できません。 TOWN:SDXにファブリックシート、吸音材カーペットマット、ややブラウンががった専用内装色、フロントグリルメッキモール、ボディ同色ミラー&ドアハンドル、フルホイールキャップ、AM/FMカセットステレオが付いたカスタム仕様です。エアコン、助手席SRSエアバッグ、ABSはオプションになります。旧規格の時にはタコメーターが付いていましたが、残念ながらなくなってしまいました。 ○SDXとTOWNのミッションは、2WDが5MTと3AT、4WDが5MTのみでAT車はありません。 ○色はタフタホワイトとベイブルーの2種類で、STDとTOWNはタフタホワイトのみになります。タフタホワイトはほとんどのホームセンター、カーショップで缶スプレーとタッチアップペンが売られています。ベイブルーはディーラーで扱っているタッチアップペンのみです。 ○最小回転半径は、パワステ付き車が2WD=4.3m、4WD=4.4m、パワステなし車が2WD=4.5m、4WD=4.6mとなります。初期型はパワステのありなしに関わらず2WD=4.5m、4WD=4.6mとなります。クラス最大値です。 ○全車「超-低排出ガス」、平成22年燃費基準に適合しています。 2WD・STDでも72万円、4WD・SDXで89万5千円、更にエアコンと安全装備を付けると105万7千円と、はっきり言って高価です。 HA6(2WD) HA7(4WD) マイナーチェンジの記録(プレスリリースにリンク) 1999年5月 登場(100型) 2000年2月 全車カラードバンパー化。N仕様追加(110型) 2000年12月 荷台拡大(120型、のちに小変更があり130型) 2003年4月 「超-低排出ガス」適合(140型〜) アクティの歴史 ※このページで「初期型」は100型、110型を指します。「後期型」は120型以降を指します。 外見 フルキャブに慣れた人には斬新なスタイルにも見えますが、古いホンダファンにはかつてのT360とライフ・ピックアップを足して2で割ったようなスタイルで、どこか懐かしさも感じます。セミキャブ3車ともにマイナーチェンジで似てしまった感がありますが、よく見ると他の2車よりノーズが長くなっています。しかしそれでもアクティらしく見えるのは、荷台まで統一感のある角の微妙な曲面処理と、ドアノブやミラーが旧型と共通部品だったりするからでしょうか。TOWN後期型はバンパー上部にメッキのモールが付き、フルホイールキャップも付属します。 バンパーはバモス用と互換性があり(バモスバンパー側が初期型は無改造で交換可、後期型は多少改造が必要。詳しくはこちら)、多くのユーザーが好みのバンパーにしています。 バンパーの取り付けは、歩行者にぶつかった時などに衝撃を吸収するためか、わざとヤワになっている部分があります。特にバックでUターンする時に何かに引っかけて、裏側から押された時にフェンダー裏のネジの部分を壊しやすいです。そこで管理人はこの部分をネジではなく細めのナイロンバンド2本でとめ、力がかかった時にナイロンバンドが切れるようにしています。また、薄くなっているところにあらかじめ切込みを入れて、ねじがスッと抜けるようにしてもいいと思います。
横から見るとキャビンのラインと荷台のラインが折れているように見えます。キャビンが前のめりになっているデザインなのですが、なんだか事故で折れ曲がったようにも見えてしまうので気になるところです。
最低地上高は軽トラックで最も高い190mmです。ただしデフ下地上高とは異なり、荷物を積むと下がります。車体中央部にはセンターシャフト支持金具がぶら下がり、ランプブレークオーバーアングルは大きくありません。 短いボンネットの中にはヒューズボックス、バッテリー、ウオッシャータンクなどが入っています。バッテリーの位置がウオッシャータンクの下というのが不便です。農家は農機具の始動にバッテリーケーブルを引くことが多いので、ウオッシャータンクをどこかに移動するか、バッテリーケースを旧型同様の荷台下に移動してもらいたいものです。 荷台に乗る時につま先を引っ掛けるステップ穴は、運転席側は給油口がある関係で助手席側のみで、ちょっと不便です。 鳥居はキャビン溶接部の内側に引っ込む形のもので2種類あり、ぎりぎりいっぱいまで荷物を積むか、シンプルな外見が好みならなら「スタンダード鳥居」(実質荷台長1920mm)、トノカバー用のロープや背骨を通すなら「ガードパイプ鳥居」(実質荷台長1905mm)を選びます。STD以外の全車でどちらも選べるので、注文の時に指定してください。 初期型の場合はガードパイプ付きのみで、キャビン溶接部の外を取り囲むような形になっています。荷台長1870mm、鳥居までの実質荷台長1830mmでした。農家で一般的に良く使うコンテナは1段に付き13個、上まできっちり積めますが、京間の畳屋さんなど職種によってはテールゲートを開けないと積めないものもあります。 初期型鳥居、後期型スタンダード鳥居は下の横棒とキャビン背面との隙間が狭く、ロープや背骨を引っ掛けるのには一苦労です。なお、荷台背面パネルは初期型がほぼ垂直、後期型がわずかに下部にえぐりが入っている形になっています。
改良点のひとつ、錆止め強化部分の例 初期型はバンのボディマウントが露出。少し錆びてきています。 後期型はこのように改良されています。 エンジンのカバー蓋は荷台中央にあり、レンチで開けるようになっています。エンジンはPGM-FI(インジェクション)で、プラグは10万kmメンテナンスフリーのイリジウム、プラグコードもないDLI方式で、普通のメンテナンスではまず開けることはありません。550cc時代は切れやすいと悪評だったタイミングベルトも長寿命化されたそうです。 オイル口は助手席側の荷台後端にあり、360cc時代から変わらない単なる蓋なので、給油の時は燃料と間違えないように注意する必要があります(昔の軽は燃料口もこれと同じような蓋でした)。オイルも注ぎにくいので改良して欲しいです。オイルレベルゲージは助手席側後輪の奥にあり、チェックする時に袖が汚れてしまいがちです。 マフラーは単純な筒型のものを2つ直列に繋いだものです。出口は変な形に曲がっていて、位置も中途半端でバックした時に何かにぶつけそうなのが気になります。バンやバモスと共通で、テールゲートをあけても汚れないのはいいのですが・・・。 荷台作業灯はSTD以外の全車に標準装備されています。スイッチはインパネにあり、キー位置ACC以上で点くようになっています。走行中でも点灯可能なんですが、いいのでしょうか・・・。 テールゲートのロープフックは初期型が2箇所、後期型が3箇所で、トノカバーをするときに背骨代わりにロープを張ることができるようになりました。ナンバープレート脇のロープフックは左側が通常の形ですが、右側が牽引フック兼用のD形になっていて、ゴムがかけにくくちょっと不便です。 トノカバーのゴムを引っ掛けるために、こんな隠しフックがありました。 全グレードともにテールゲート裏側にはみち板(歩み板)のツメを引っかける溝があり、荷台に傷がつかない工夫がされています。 テールゲートチェーンは別売りですが、ホンダ独自の受け側が使いにくく、管理人は受け側のみスズキ製に変えました。他社では格納式チェーンが主流になっているだけに、改善が望まれます。
ホイールは3.5Bで適応幅が145までのため、地上高確保のため155のタイヤを履きたい場合は変更する必要があります(ライフ用の12インチが4Bです。ただしブレーキのカバーにほんの少しだけ干渉しています。少し走って当たりがつけば大丈夫程度かとは思いますが・・)。旧規格HA1〜4までのホイールとは寸法が同じでデザインが違いますが、新規格車に履くことは可能です。その逆は確認していません。 キャビン 現行アクティの最大の欠点が、狭いということです。長いボンネットの分フロントウインドゥが顔に近く、旧規格から乗り換えた当初は圧迫感がありました。一応シートスライドで大柄な人も運転できるようにはなっていますが、後ろ3ノッチほどはシートバック角度が立つ設計なので、大柄な人は腰の角度がきつくなってしまいます。更に、2000年12月の大マイナーチェンジの時に、キャビン長を4cmほど削ってまたまた狭くなってしまいました(怒)。一応シートバックを薄くすることで対応していますが、身長164cmの管理人でも狭さを感じます。アクセルペダルの形を少し変えるだけで、だいぶ楽になると思うのですが・・・。また、助手席のシートバック角もきつくなってしまいましたし、大柄な人が乗ると膝がグローブボックスに当たるほどです。これでは何のための安全性強化かわかりません。 セミキャブにつきもののホイールハウスの大きさはやや小さめ。乗降性は小柄な人の場合は旧型や他のフルキャブより良く、大柄な人には悪くなります。ホイールハウスにはプラスチックのカバーがされていて塗料がはげないようになっていますが、その形が独特で、柔らかい靴を履いた時やアクセルの踏み方によっては気になることがあります。しかし、これを上手く利用するとアクセル開度を一定にしておけるという利点もあります。 運転姿勢はペダルを上から踏む感じで、現在の軽トラックでは最もトラックらしいものだと思います。シートは硬めのもので、座面に角度が付いているのが特長です。シートバックは初期型は平らで落ちつきませんでしたが、後期型ではいくぶん湾曲して安定性が良くなりました。 運転席をハンドルセンターに合わせるために助手席が左に寄り、ちょっと窮屈になっています。エアコン装着車は足元にエアコンユニットがあるため、更に狭くなってしまいます。バモスの衝突テストでは助手席のダミーの左足が挟まれるという事態が起きてしまいました。はっきりした文献や写真はありませんが、エアコンと床の隙間につま先が入るスペースがあるので、この部分だと思います。早くエアコンの形を改良するなどの改善をしてもらいたいものです。(管理人の対策) 管理人の場合は、運転席の座面をとめるボルトのうち前2つにワッシャーをかませて更に角度を付け、シートバックのアンコを後期型と交換してスペシャル化しています。
インパネはバモス初期型と共通で、奥行きがない独特のデザイン。上面は物がほとんど置けない構造です。これは旧棚型インパネでは不用意にハサミまで置いてしまう農家が多く、衝突時に凶器になってしまうためと思われます。 エアコン操作部は大きなダイヤル式でお年寄りも操作しやすいです。しかし大きすぎる感じもあります。その分と、バモス用にカーナビを設置するスペースを設けたため、オーディオ位置が下になりすぎて操作しにくいです。また1DINしかありません。バモスとアクティバンはこの点が改良され2DINが収納できるインパネになりました。 ハザードスイッチはエアコン吹き出し口の右にあり、押しやすいのはいいのですが、照明がありません。その下は荷台作業灯のスイッチなので夜間は紛らわしいです(TK4研究員の対策)。ハンドルの左下奥にはフォグランプとデフロックのスイッチがあるのですが、ハンドルとワイパースイッチに隠れて見つけにくいです。 メーターはスピードメーターと燃料計のみの極めてシンプルなもの。ATの場合はシフトポジションが加わります。タコメーターはありませんが(バンは最低グレードにまで付いているのに!)、MTの場合はメーター内に1速25、2速45、3速65km/hと守備範囲が記されていてなかなか便利です。水温計の代わりに始動時に水色のランプがつき、暖まると消えます。オーバーヒート時は赤いランプが点滅、更には点灯するそうです。オドメーターとトリップメーターはデジタル式で、ノブを押すと切り替わり、長押しするとリセットされるという仕組みです。少々面倒ですが全グレードにトリップメーターが付くという利点があります。燃料計はキーを抜いても針が落ちない残針式です。スピードメーターは140km/hまで、イルミネーションは白色です。 なお、スピードメーターの裏は従来のケーブル式ではなくパルス式となりました。 ハンドルは全車エアバッグが付く関係で、ソフトウレタンで手触りが良い材質となりました。直径、太さともにちょうどいいサイズです。バモス用と一見同じようですが、3箇所の「コブ」とディンプル加工が省略されていて、握りごこちはワンランク落ちます。アクティバンもバモスと同じハンドルになり、トラックだけが取り残された感もあります。磨耗は多めで、4万キロでシボが消えかかっている部分があります。 ヘッドライトのハイロー切り替えとワイパーの操作系は、従来はホンダ独特のものでしたが、標準的なものに統一されました。旧型からの乗り換え時はちょっとまごつきます。 収納スペースは、助手席前にティッシュがピッタリ入るトレイがあり、花粉症の時にすぐ取り出せてとても重宝しています。しかしながら、ここに無造作にハサミなど硬いものを置いてしまわないかというのは心配です。ティッシュボックスやタオルなど柔らかいものだけにしておきましょう。 グローブボックスはエアコンが裏にある関係上、下に奥深い形で、容量も少なめです。 運転席側はクラッチペダルの上に深いくぼみがあり、角度がついているので物が飛び出しにくく、財布など頻繁に出し入れする物を入れるのに便利です。運転席側ドアには大きなポケットがありますが、ステレオスピーカー装着時は区切りがされ、大判のマップルが入らなくなってしまいました。また、そのスピーカー(12cm)は位置が低く、音響的にはトゥイーターの装着が前提になっています。標準のAMラジオの場合はハンドル右下のヒューズボックス内に10cmスピーカーがあり、こちらは音の通りは良いです。 助手席シートは跳ね上げられ、なんと農家で一般的に良く使うコンテナ2個が収納できるスペースが出現します。雨の日に濡れたくない小荷物を運ぶのに重宝しています。助手席使用時でもちょっとした旅行バッグが入るほどのスペースがあり、工具やゴミ箱、CDチェンジャーなどが収納できます。これは他の軽トラックにはない大きな利点です。運転席下にはECU(コンピュターユニット)がありますが、それでもちょっとした小物が入れられるくらいのスペースはあります。 カップホルダーはシフトレバーの下に2つありますが、低くて使いにくいです。これは低いシフトノブと跳ね上げ式助手席との組み合わせで、助手席側から乗り降りしやすいようになっているためです。通行量の多い場所での配達に重宝します。 純正オプションで、オーバーヘッドシェルフ(頭上の物入れ)も付きます(初期のオプションカタログにはありませんでした)。ただし元々窮屈なアクティなので、更に窮屈感があります。 パーキングブレーキ周辺はシンプルで、シートの座面より低くなっています。仮眠に便利と思いきや、運転席シートベルトアンカーが完全に収納できない仕組みになっていて邪魔でした。管理人の場合はアンカーを一旦外してストッパーを削って昼寝しやすくしてしまいました。 前面はフルトリムで、ドアは全車成型ドアトリム、Aピラーにも分厚いトリムがしてあります。これは衝突時に乗員の頭などを保護するためのものだそうです。一応視界を邪魔しない形にはなっていますが、フロントウインドゥの黒い縁取りがやや太く、こちらの方が視界を狭くしているのは要改善です。シートベルトの取り付け部も頭部保護のため横ではなく後ろのパネルにあります。ショルダーアジャスターはありません。 天井は成型で、汚れやすい材質です。オーディオの音響と雨音は旧規格のプラスチック製よりよくなりましたが、前のほうが汚れを拭きやすかったので商用車には向くと思います。 走り エンジンのスペックは最大トルクが5000rpmと高く、高速域のフィーリングがとても気持ちよいです。フル加速するとレブリミットの7500rpmまでストレスなく回り、突然オーバーレブ防止リミッターがかかってびっくりするくらいです。しかし実際のパワーはごく平凡なもので、車重が重いのとフルタイム4WDということもあって、加速は他の軽トラックから比べればややもっさりしたものに感じられます。5MTの5速×最終減速比=5.36はNAの軽トラックとしては最もハイギヤードで、60km/h巡航が約3200rpm、100km/h(注:高速道路の最高速度が100km/hに引き上げられました)で約5300rpmとなります。乗用車からみればすごい回転数ですが、軽トラックの世界ではこれでもかなり抑えられているものです。 反面、5速で坂道にさしかかると低回転域が弱くトルク不足となり、早めにシフトダウンしなければいけません。また、2速発進では気を抜くとエンストすることがあり、1速から5速までフルに使わなければいけない性格です。2速発進、5速に入れてどこまでも楽チン運転したいという人には向かないでしょう。全域でもうひとまわりトルクがあれば、このギア比が活きてくるのですが・・・。2WDのみに設定されている3ATも、巡航ギア比が5.61と5MTに近い値になっています。 旧規格の4WD・5MT車とギア比を比べると、4速のみがローギヤードになっています。高速道路で時速100km/hで坂を登る場面では、5速ではハイギヤードすぎてベタ踏み、4速ではレブリミットギリギリでトルクピークを過ぎていて、扱いにくいと感じることがあります。なぜ4速がローギヤードになったのかいまひとつわかりません。なお、バンの場合は5速×最終減速比が5.68とややローギヤードに設定されています。 シフトフィーリングは遠くのミッションをワイヤーで操作しているとは思えないくらいには良いです。ストロークも短め。旧規格と比べると、左右方向にストロークが短くなりました。シフトレバーの位置が低く、他のMT車から乗り換えると多少違和感を感じるかもしれません。 余談ですが、ホンダのエンジンは他の会社とは回転方向が逆です。FF車で少しでも衝突時の安全確保をするために、エンジンを左側にレイアウトしたのが始まりだとか。その弊害として、ミッションの設計を独自にしなければいけなくなり、アクティ/ストリート/バモスのシリーズを通して4WDのATがなかなか発売されませんでした。2000年、遂にバモスとアクティバンに4WD・4ATが搭載された時は、シビックのミッションを流用したそうです。そのためトレッド幅に収まらなくなり、縦置きになりました。ちなみにTNアクティが4WD化された時も縦置きでしたが、それとはエンジンの向きが逆になります。 燃費は雑誌テストによると、2001年春時点でテストに集められた軽トラックの中で唯一フルタイム4WDにも関わらずNo.1でした(その後各社燃費改善されました)。 管理人の車の場合、最高が山間部の国道中心の遠出、片道210kmの往復で20.15km/Lという記録が出ました。ちょっとした遠出で田舎道を丁寧に走れば、10.15モード以上は簡単に出ます。最低は宅配アルバイトと稲刈りの時で9.5km/L、ふだんは農家のチョイ乗り中心+隣町まで買い物という使い方で13km/L台で、満タンで余裕を持って420kmくらい走りますが、これは条件が違うとまったく違うので一概に比較できないと思います。 バッテリーからエンジンまでが遠く、アーシングの効果は高いようです。管理人の車はいろいろと試しているのですが、アーシングによりトルクの不満が少なくなりました。 騒音は昔の軽トラックを知る人にとってはとても静かに感じます。特にTOWNは足元のマットに吸音材が奢られています。SDX以下はロードノイズをやや拾います。サンバーの方がもっと静かに感じますし、シート下にエンジンがある車種でも改良が加えられだいぶ静かになったので、特に素晴らしいというほどではないと思います。 初期型の4WD・MTにABSとエアコンを付けた状態で、前440kg:後410kgと重量バランスが非常に良く、更に全ての重量物がホイールベース内に納まっています。ハンドリングは従来の旧規格アクティに比べればどっしりとしていて(ハンドルは軽いですが)、一般的な乗用車からみればクイックに感じる中間的なところです。安全性向上の副産物としてシャシー剛性が感じられ、フロントロアアームも今までのIアーム+テンションロッドからAアームになり、しっかりしたのが感じられます。ただし、タイヤの空気圧をあげるとドアのたてつけ強度不足が目立ってしまいます。 155/65R13のライトスポーツタイヤ(BSグリッドII)に換えてウエットのサーキットに持ち込んだところでは、良くも悪くも、テールが流れも空転もしませんでした。ビスカスカップリングはFFベースのスタンバイ4WDより敏感に反応して、ふだんの一般路の走りでも前輪がさりげなくサポートしているのがわかります。高速道路の横なぐりの雨風でもフロント駆動とロングホイールベースの恩恵があり、軽トラックとしてはかなり安定しています。 限界を超えるとアンダーが出ますが、前輪が踏ん張る分その限界は旧型より高くなったと思います。2WDの場合もアンダー指向だそうです。 雪道では結構素直に走ります。意図すればにテールを振ることができますが、ロングホイールベースのため挙動は穏やかです。ただし、柔らかい雪や溶け出してシャーベットになった雪質では、直進から急にハンドルを切った時など一瞬プッシュアンダーが出て、その後急に曲がることがあります。これは幅155のスタッドレスタイヤを履いた時にはだいぶ改善されるようです。また、車重があるので145タイヤでは面圧が高すぎて、4WDが作動しても雪を掘ってもぐることがあります。雪道では細身のタイヤがいいという説もありますが、車重850kg〜1トンに145ではちょっと細すぎるのではないかと思います。 ビスカスのフルタイム4WDというと駆動力を心配する方も多いようですが、農家で普通に使う範囲や、未舗装の林道を走るくらいなら、まったく問題はありません。試しにちょっとした上り坂で後輪をジャッキアップして走り出してみるという実験をしましたが、まるでFF車のように何事もなく発進してしまいました。農家用オフロードタイヤを履いても、ビスカスの限界よりタイヤグリップの限界の方が先に出ます。ハードなオフローディングでは限界も出てくるかもしれませんが、その場合はデフロックがあればいいでしょう。なお、ATTACKのデフロックはULとURのみで作動するようになっています。 欲を言えばビスカスが連続して作動した時に、ロックアップして直結になる機構があれば、より安心できるのではないかと思います。 タイトコーナーブレーキングの強さは、ビスカス4WDの中では中くらいといったところでしょうか。 標準のタイヤはダンロップのLT56Aかブリヂストンの605で、いずれもOE(新車装着用)専用タイヤ。ショルダーは丸く、反応は穏やかです。同じ145R12でも、一般にタイヤ屋さんで市販されているバンタイヤよりグリップは低いです。自動車アセスメントのバモスのブレーキテストでは、全テスト車両中最悪の結果が出てしまいました。この時はヨコハマ355というタイヤでしたが、3銘柄共性能はほとんど同じだと思います。スタッドレスのブリヂストン・W965の方がOEタイヤよりグリップするくらい・・というテイタラクです。管理人の場合、乗用車用ベーシックタイヤに換えただけで体感できるほど制動力が良くなりました。 また、OEタイヤはオフロード性能もゼロ、ATTACKもこのタイヤというのがちょっと疑問です。 初期型は145R12-8PRで前2.0、後4.5kgf/cm2というとんでもない空気圧指定でした。当然乗り心地は悪いです。グリップにも問題があるようで、濡れた路面ではABSが頻繁に顔を出して怖いくらいでした。しかし重量物を積んだ時はとてもしっかりしていて、軽快に走ります。 後期型は6PRに前220kPa、後350kPa(単位が変わりました。3.5kgf/cm2相当です)という設定になりましたが、まだ高すぎるようで、あまり荷物を積まない時は前期型後期型共、後輪250kPaくらいにしておいたほうがいいようです。 前期型では荷物を積むとリヤだけ下がるというクセがありました。また、乗り心地も管理人の車は155/70R13乗用車タイヤに換えて乗り心地はマイルドになりましたが、それでももう少しフラット感が欲しいと思います。また、スプリングの硬さに対してダンパーが柔らかく(といより精度が悪い?)、揺れが1回で収まらない傾向がありました。TK4研究員報告によると、カヤバから発売されているバモス用ダンパーが使え、具合がいいそうです。これは標準車高用、ローダウン用があります。 後期型では前後の沈み方をなおすべく、フロントサスを柔らかく、リヤを硬く変更したようです。乗り心地も後期型のほうがマイルドに感じます。 なお、クスコからロアアームの付け根を結んで強化するアンダーバーが出ています。詳しくはおしょう研究員のバモティのページへ。 約700kg積載時(注:なるべく農道を走ってます)でも・・ 8プライタイヤに空気圧4.5キロだとこれしかつぶれず、軽快に走る。リーフの反りに注目。 新旧アクティのタイヤのつぶれ方の比較。同じくらいの積載量。 パワステは軽く、特にOEタイヤでは異様な軽さを感じます。乗用車タイヤにすると違和感は半減します。女性や肩を悪くしている人がフル積載状態でも楽々扱える設定のようです。また、ハンドルの戻りが悪く、センター付近の遊びもないため、現在の車としては直進性や路面の傾きにやや神経質な面があると思います。 2WDの場合、肩を悪くしていなければパワステなしでも大丈夫だそうです。4WDの場合は、パワステなし車を試乗したことがないのでわかりません。N仕様のオーナーがいましたら、客観的な(女性が乗ってどうか・・)報告していただければ幸いです。 ブレーキングはかなり真っ直ぐ止まります。初期型のABSは制動距離より姿勢制御を重視しているようで、雪道でも乱れずに真っ直ぐ止まるのに感動しました。しかしタイヤとのマッチングが悪いのか、雨の日は余計なところでABSが顔を出し、ツツーと止まらない感じでヒヤリとすることがありました。乗用車タイヤにしてからは、そんなことがなくなりました。後期型ではプログラミングを改善しているらしく、ちょっと乗ってみた限りではそういうことはないようです。 なお、前輪のディスクブレーキはライフやバモスと共通で、各メーカーから発売されているスポーツパッドが使えます。更にロッキード(旧APロッキード)、プロジェクト・ミューといったブランドからベンチレーテッドディスクが発売されています。 管理人はフロントのブレーキパッドを、アフターマーケットのいわゆる「ストリート系」に交換しました。タイヤとブレーキパッドを交換し、後輪空気圧を下げるだけでブレーキングの感覚がまったく違います。もっとも、ブレーキだけ強化してもタイヤがノーマルのOEタイヤではあまり意味がないかもしれませんし、きく分だけ減りも早いので、ずぼらな人には向かないと思います。 総評 軽トラックだからと特別視せず、オフセット衝突まで対応した姿勢は素晴らしいと思います。しかし車重が重くなり、タイヤの空気圧も最大にセットされているので、OEタイヤではグリップ不足が出てしまいます。もう少し太いタイヤ、グリップの良いタイヤとの組み合せが求められます。 2000年12月のマイナーチェンジは、恐らくディーラーの方から「荷台長が他社より短くて売れない」という突き上げがあったのでしょう。バンパーを3cm、キャビンを4cm削ってしまい、せっかくの安全性が平均身長より小さい人しか恩恵を受けないようになってしまいました。管理人の場合は初期型の荷台長1870mm(鳥居まで1830mm)でも充分なので、窮屈になったキャビンは改悪にしか感じません。 確かに1940mmあれば便利という職種もあると思いますが、農家でよく使うコンテナが13個ピッタリ納まる1830mmで充分、その分広いキャビンをという要望も多いはずです。3400mmという長さであちらもこちらもと両立しようとして、迷走してしまったように感じます。 鳥居が2種類から選べるという面倒なことをしているくらいでしたら、多少窮屈だが1940mmの荷物が積めるタイプと、鳥居まで1830mmで広々キャビン、シートもホールド性重視しているタイプを併売できるようになれば、安全性も活きてくると思います。(550cc時代にはハイゼットジャンボに先駆けて、少しだけキャビンの広い「ビッグキャブ」というモデルが出ていました) 自動車アセスメントでつま先が挟まることが指摘されたにもかかわらず、エアコンの位置、形状が改善されないのも心配です。2003年4月のマイナーチェンジで、また不満がつのってしまいました。 初期型では白色と黄色が選べたフォグランプが、バンパーが薄くなった後期型では付かなくなってしまいました。霧や雪の多い地域では、飾りではなく他の車へ存在をアピールする立派な安全装備です。確かに今時はホームセンターで安く入手できますが、その取り付けの基準は結構面倒なもの。純正で装備できるように戻してもらいたいものです。 もうひとつ気になるのが、TOWNの存在です。SDX比で約9万円高、マイナーチェンジのたびに外装などを豪華にしていますが、タコメーターは廃止、オーディオは今時カセット、ホイールキャップにしても好きなアルミを買ったほうが安上がりですし、果たして9万円も出す魅力があるでしょうか? もし乗車スペースを約90mm拡大した「ビッグキャブ」が出せるとしたら・・・シートを少しだけ大型化してサポート性を向上させ、ホビオ同様の防水シートとウオッシャブルフロアマット、バモス/アクティバン共通のタコメーター付きインパネと、握りごこちの良いハンドル、オーディオレス、エアコンを標準化して実質値下げ、4WDターボ4AT追加、4WDの5MTにはアタックのミッションがOPで付き、カラーも数色選べる・・・こんなTOWNだったら・・・。モーターショーで新造形バンパーやストレッチキャビン?・・と思わせぶりなショーモデルを出しておいて、肩透かしなんて、そりゃないでしょHondaさん。 荷台長1830mm(鳥居まで)という数字はダテじゃない!
99年5月〜00年12月までの初期型 投稿 HIRO司さんのアクティ トノカバー処理と、バモスシートへの換装が見事です。 バモスのインパネと交換したh1300研究員のリポート
私のアクティトラックは18年式HA7SDXです。
いままでオンダッシュタイプのカーナビをインパネの上に貼り付けて使用しておりましたがどうしても見栄え上、又精度の上で満足できずインダッシュタイプのギャザーズナビの取り付けを計画しておりました。 しかし1DINから2DINへの変更にはバモスのインパネをそっくり移植する以外考えられなかったので思い切って実行しました。その時に大変参考にさせていただいたのがこの軽トラック研究会のサイトでした。この度やっと完成しましたので是非ご披露したいと思いました。標準車との違いを簡単に説明します。 フロント廻りはバンパーをモデューロのバンパーに変更しただけです。 使用部品はモデューロバンパー・グリル・バモス後期タイプの バンパーサポート・左右フェンダーステ、サイドメンバーを前方に30mm延長するためのステ(自作)だけです。 タイヤとアルミはセストスパークの純正です。インチアップのためにパワーステのギヤBOXモーターをバモスの13インチ使用に変更しております。 室内では純正ギャザーズのHDDナビを装着するためにインパネをそっくりバモス後期のものを移植しました。ついでにリアライセンスランプの脇にリアカメラも装着しました。使用部品はバモス後期のインパネそっくりとセンターフレーム 同じくステアリングコラムシャフトとステアリングハンガーブラケット 上下のコラムカバー キーシリンダーは同じでしたのでそのまま流用しました。 ステアリングはロゴの物です。モデューロバンパー以外はほとんど中古部品を使用しましたのであまりお金はかかりませんでした。ナビ取り付けの計画がある方にいくらでも参考にしていただけたら幸いです。 後期型アタックユーザーKozさんのアクティのレポートのページ。 写真を多く使って細かいところまで紹介してあります。 謎の車、バモティ |
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